本気の恋の始め方
「そんなにおなか空いてるの?」
夜は夜で、私が作った山盛りごはんを、文字通り山盛り食べたというのに……。
不思議に思いながら尋ねると
「昨日いっぱいしたからかも?」
さらりと言われて、硬直した。
もう、いっぱいしたとか言わないで欲しい……
顔がカーッと熱くなる。
ちらっと顔を盗み見ると、言った本人はケロッとしてるし。
私、年下の彼にすごい振り回されてるかも……。
顔を洗ってキッチンに立つ。
「じゃがいものお味噌汁がいいな」
「じゃあ皮むいてね」
「うん」
隣に立つ千早にピーラーとじゃがいもを渡して、私はにぼしで出汁をとりつつ出汁巻き卵の準備をする。
「出汁とったら煮干しくださいね」
どうやらこのアパートの近所に野良猫の親子が出没するらしく、千早は出汁をとったあとの煮干しをあげるのを楽しみにしているみたい。
「はい、どうぞ」
十分に出汁をとったにぼしを猫用の小皿に入れて渡すと、千早はとっても嬉しそうな顔をした。