本気の恋の始め方

後かたづけは全部千早。


その間、食後のコーヒーは私が淹れる。


煮干しを食べる猫たちは、器用に頭とハラワタは残すんだとか、そんな他愛もない話しをしながら。


彼氏どころか、男ともだちなんて長い間いなかった私だけど、千早といても会話に困らない。



もちろんドキドキはするけど……

千早といると、穏やかに時間が過ぎていく。




「今日はなにしようか。映画でも行く?」



ソファーにぴったりと身を寄せあって、テレビ雑誌をぺらぺらとめくる。



「今日は一日べったりしましょう」

「いつもべったりしてるのに?」



不思議に思って顔を上げると

「だって俺、来週出張だし。来週の分の補給が必要なんです」

真面目な表情をした千早は、私の体を引き寄せぎゅっと抱きしめた。




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