本気の恋の始め方
「俺、地味に傷つきましたけど」
「えっと……ごめんなさい」
さすがにこうはっきり言われたら謝るしかない。
ぺこぺこと頭を下げるしかなかった。
「じゃあ、コーヒー飲ませて」
「へ?」
「ちょっとのど、乾いちゃって」
「あ、はい……」
そしてなぜかなりゆきで、そのまま彼を部屋に上げてしまった。
えっと……とりあえずコーヒー……だよね。
お客様用のカップにコーヒーを注ぎ、彼が向かったはずのリビングへと向かうと、どこにも千野君の姿はなかった。
あれ……?
どこ行ったの?