本気の恋の始め方
「ねぇ……セックスで痩せたの?」
「ブホッ……!」
飲みかけていたお茶を吹き出しそうになって、慌ててハンカチで口元を押さえた。
「ああああ鮎子さん、突然なに言ってるんですかっ……!?」
極力声を抑え、あたりをきょろきょろしながら食堂の中をぐるりと見回す。
「大丈夫よ、誰もいないから」
鮎子さんはそんなことはどうでもいいと言わんばかりに、私を真剣な眼差しで見つめた。
誰もいないなんて言われても私と千早は会社では内緒のおつき合いだし
(さすがに言えない)人の耳は気になる。
いくらここが秘書室ゾーンだとはいえ、やっぱり会社の食堂でする話しじゃないよね、なんて思ったりして……。
「で、さっきの話の続きだけど。痩せたでしょ」
「いえ、特にそんな感じはないとおもいますけど……」