本気の恋の始め方

「いいセックスできれいになる。大人の幸せよねーふふふ」



鮎子さんはどうやら私をチクチクいじめるのが好きみたいだ。

もうっ……。

だけど、私だっていつまでも言われるばかりじゃない。



「じゃあ鮎子さんもそうなんですね」


ちょっとした意地悪でそう尋ねたら、


「わっ、私っ!?」


みるみるうちに、鮎子さんの顔が赤く染まっていった。



おお、効いてる効いてる……。



あのクールな五所野緒君がどんなふうに……その、鮎子さんとするのかピンとこないけど。

鮎子さんの照れっぷりを見るときっとラブラブに違いない。



「最近の鮎子さん評判ですよ。きれいになったって」



これは本当のこと。

猫また鮎子に春が来たんじゃないかって噂だけど、誰も五所野緒くんとのことは知らないんだ。



「大人の幸せ、満喫してるんですね」



冷やかしたらよりいっそう真っ赤になった。




< 283 / 446 >

この作品をシェア

pagetop