本気の恋の始め方
るうくんは、私の初恋。
そして私の最後の恋の相手。
彼と私が映った写真はこれしかない。
ぎゅうっとフォトフレームを胸に抱いたまま、寝室のドアを乱暴に閉め、ベッドに倒れ込む。
後生大事にしていた「初めての思い出」を捨てるために、千野君に抱かれた。
そして捨てられたと思ったのに……。
写真一枚見られただけで、頭の中が真っ白になった。
他人に、自分の思い出に、土足で踏み込まれた気がした。
しばらくそうやってベッドに寝転がっていると、頭が冷静さを取り戻し始める。
「――」
千野君にしたらわけわかんないだろうな……。
写真見たくらいでいきなり怒って、おまけに出て行かされて……。
悪かったな、と思うと同時に、これでよかったんだ、と思う。
これで彼も、二度と私に関わろうとしないだろう。