本気の恋の始め方

ああ……心臓が痛い。


そして呼び出し音がなると同時に、

『――潤さん!』

明るい千早の声に、胸の奥が痛くなった。


どうしてそんな明るい声が出せるのよと、責めたくなる気持ちを必死で押さえる。



『潤さん、今こっちにいるって本当? メール見てびっくりしたんだけど』

「――」

『潤さん?』

「――」



繭ちゃんと朝まで一緒にいたのはどうして?

繭ちゃんとつきあう気なの?


じゃあ私は?

別れるの?


言いたいことはたくさんあるのに

いざとなったらなにも言えなくなった。

自分から口にしたらすぐになにもかもが終わってしまうような気がして。





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