本気の恋の始め方
ベッドから起きあがって、フォトフレームをサイドボードに仕舞う。
さすがに捨てられないと思うのは未練だろうか……。
がらりと寝室のドアを開けると、そう離れていない玄関の前の廊下に、千野君が膝を抱えて座っている。
なんで……?
「――」
「あ」
彼は呆然と固まった私を見て、慌てたように立ち上がる。
「あ、いやあの、出ていこうと思ったんですけど、鍵、かけないままだったら危ないかなって……すみません」
「――」
玄関に立っている彼はこちらに寄ろうとして、けれどまずいと思ったのかまた一歩下がって、私を見つめた。