本気の恋の始め方
頭の中を、ホテルのエントランスで見た千早と繭ちゃんの映像がぐるぐると回っている。
親しげに組んだ腕
かわいい繭ちゃん。
千早とお似合いだった……
自分が隣にいるよりも。
『もしかして京都に来たって本当に嘘? 俺、一日中メールしたり潤さんに電話かけたりしてたのに……ひどいですよ。予定狂いまくりです』
携帯の向こうで、不満げに唇を結んでいる千早の顔が目に浮かぶ。
「――ひどいって……どっちが」
自分でもびっくりするくらい低い声が出た。
『え?』
「今から会ったらいいじゃない。予定通り、繭ちゃんと」
『――』
「もう邪魔しないわ」
『潤さん、待って……』
「聞きたくない」
『潤さんっ!』