本気の恋の始め方
ぼんやりした頭で、たくさんのひとが行きかうホームを眺めていると、
「潤、少し眠ったほうがいい」
と、るうくんが私の腕にそっと触れた。
「え?」
「昨日寝てないんだろ。泣いてる声、聞こえたから」
「――」
私をしっかりと見つめて話す彼の指摘に頬が熱くなる。
やだ、聞かれてたんだ……。
そうだよね、隣の部屋だもの。
「――ごめん」
恥ずかしくて自然声が小さくなる。
「どうして謝るんだよ」
苦笑するるうくん。
「うるさかったでしょ。るうくんだって眠れなかったんじゃないの?」
「うるさいとは思わなかったよ。ただ……」
「ただ?」