本気の恋の始め方
「潤さん。俺、順番おかしいって思うけど、潤さんが好きです」
好きだって言われるなんて、思わなかった。
失礼かもしれないけれど思わず
「嘘でしょ?」
と聞き返してしまった。
「本当です」
少しむっとしたように千野君が唇を尖らせる。
スーツ姿の彼しか知らなかったけど……パーカーにスウェットなんてカジュアルな格好をしている彼を見ると、まだ学生にしか見えない彼。
新入社員でもぴか一の彼。
そんな彼が私のことを好き……?
どうしても信じられなかった。
「昨日も聞きましたけど、付き合ってる人、いないんですよね?」
「いない、けど……」
「俺じゃだめですか」
「――」
「つきあったら、俺のこと好きになるかもしれません」
「ならないよ」
「俺、男としてイケてないですか?」
「千野君を見て「イケてない」と言う女子はそういないと思うよ」