本気の恋の始め方

「潤さん。俺、順番おかしいって思うけど、潤さんが好きです」



好きだって言われるなんて、思わなかった。


失礼かもしれないけれど思わず


「嘘でしょ?」


と聞き返してしまった。



「本当です」



少しむっとしたように千野君が唇を尖らせる。


スーツ姿の彼しか知らなかったけど……パーカーにスウェットなんてカジュアルな格好をしている彼を見ると、まだ学生にしか見えない彼。

新入社員でもぴか一の彼。


そんな彼が私のことを好き……?


どうしても信じられなかった。



「昨日も聞きましたけど、付き合ってる人、いないんですよね?」

「いない、けど……」

「俺じゃだめですか」

「――」

「つきあったら、俺のこと好きになるかもしれません」

「ならないよ」

「俺、男としてイケてないですか?」

「千野君を見て「イケてない」と言う女子はそういないと思うよ」



< 33 / 446 >

この作品をシェア

pagetop