本気の恋の始め方
「塁は? 出張明けはお休みなの?」
「まさか。俺も仕事だよ。鬼上司が山のように仕事回してくるからな」
「ふふっ……そうなんだ」
東京についてすぐ、新幹線を降りた私たちはタクシーに乗り込み、まず私の住んでいるマンションへと向かった。
「――荷物、持てるか?」
タクシーを降り、るうくんが後部座席から私の荷物をおろす。
なにしろ思いつきで実家に帰ったくらいだし、荷物は大した量じゃない。
重いのはお母さんが大量に作ったお総菜くらいだ。
「持てないほどじゃないよ」
「俺が玄関まで持っていこうか?」
るうくんの気遣いは嬉しかったけど
「ううん、大丈夫」
もしかしたら千早が待ってるんじゃないかって考えてしまって、それを断っていた。