本気の恋の始め方
お世辞じゃなくて、それは本当のことだから正直に言った。
「だけど、潤さんから見たら、ダメなんでしょう?」
「――」
「あの、先にその、セックスしてしまったことは謝ります。俺、ちゃんと段階踏んで誘おうって決めたのに、その、つい、潤さんとキスしたらすっげー気持ちよかったから、その、理性とかぶっ飛んで。
なし崩し的にこのまま付き合えるのかなとか思ったんだけど、潤さん帰っちゃうし……。
あ、失敗したと思って。
えっと、それでですね、俺のこと、信用できないっていうんなら、友達からきちんと信頼を築けるように頑張るんで、だから、俺のこと拒まないでください!」
「――」
直立不動の状態から、90度のおじぎ。
何が彼をそうさせるんだろう。
まったくもって、理解不能だった。
だけど、彼が私に対して本気だということはおぼろげながら理解できた。
順番は入れ替わってしまったけれど、千野くんは私を女として見てくれていて。なんと奇跡的に、付き合いたいって思ってくれていることも……。
だったら私も正直に言わなくちゃ、だめだよね。
「千野君」
覚悟を決めて彼の名前を呼ぶ。