本気の恋の始め方
時々クラクションの音が聞こえる。
もしかしたら本当に、案外近くにいるのかもしれない。
だけどそれは、私じゃなくて、真鍋さんに会いに来るつもりだったのかもしれない。
私の様子が尋常じゃない様子に気づいたのか、千早の声もかすかに震えているように聞こえた。
『潤さん、メール見てくれた?』
「――」
『話を聞きたくないなら、せめてメールだけでも読んで……』
懇願するような千早の声に胸が締め付けられる。
どうしてそんな声出すの。
どうして私を失いたくないってポーズをとるの……?
何も私じゃなくたって
繭ちゃんでも真鍋さんでも、いいじゃない。
二人とも千早のこと大好きみたいだし。