本気の恋の始め方

「千早に関わるものは今は目に入れたくない。だからメールも読みたくないし、読まない。もう二度と家には来ないで。さようなら」



さようなら。

とっさに口にした言葉の意味に気づいたのは、それから数秒後。


自分で言っておいて、これで千早との関係は終わりなんだって気づいて、呆然とした。




恋の終わりなんて想像してなかった。

このまま穏やかに、一歩一歩歩めるものだと思っていた。

けれど別れってこんなふうに唐突にやってくるものなんだね。


あっけない……

結局人と人とのつながりなんてもろいものなんだ。



通話を切るとき『潤さん!』って呼ぶ声が聞こえたけれど、それにはもう応えなかった。


ベッドに倒れると、あとからあとから涙が溢れてくる。



涙腺が壊れたみたい。

自分の意志とは関係なしに溢れだしてくる。




< 342 / 446 >

この作品をシェア

pagetop