本気の恋の始め方
「千早に関わるものは今は目に入れたくない。だからメールも読みたくないし、読まない。もう二度と家には来ないで。さようなら」
さようなら。
とっさに口にした言葉の意味に気づいたのは、それから数秒後。
自分で言っておいて、これで千早との関係は終わりなんだって気づいて、呆然とした。
恋の終わりなんて想像してなかった。
このまま穏やかに、一歩一歩歩めるものだと思っていた。
けれど別れってこんなふうに唐突にやってくるものなんだね。
あっけない……
結局人と人とのつながりなんてもろいものなんだ。
通話を切るとき『潤さん!』って呼ぶ声が聞こえたけれど、それにはもう応えなかった。
ベッドに倒れると、あとからあとから涙が溢れてくる。
涙腺が壊れたみたい。
自分の意志とは関係なしに溢れだしてくる。