本気の恋の始め方
こうするしかなかったはずなのに、思い出せるのは優しかった千早の思い出ばかり。
部屋を移動するたびについてきて
いつでもべたべたして、私のことを抱きしめて
「好きだよ、潤さん」ってささやいた。
全部彼の「本気」だと思っていたのに……。
違ったんだ。
違ったんだ……!
千早が好きだからこそ襲ってくる、別れを告げた後悔と彼への未練。
こんなみじめな状態になってもまだ、千早のことを嫌いになれない自分に腹が立つ。
早く忘れたい。
こんなつらい思いなんか、捨ててしまいたい……。