本気の恋の始め方

こうするしかなかったはずなのに、思い出せるのは優しかった千早の思い出ばかり。




部屋を移動するたびについてきて

いつでもべたべたして、私のことを抱きしめて

「好きだよ、潤さん」ってささやいた。




全部彼の「本気」だと思っていたのに……。


違ったんだ。

違ったんだ……!



千早が好きだからこそ襲ってくる、別れを告げた後悔と彼への未練。

こんなみじめな状態になってもまだ、千早のことを嫌いになれない自分に腹が立つ。



早く忘れたい。

こんなつらい思いなんか、捨ててしまいたい……。




< 343 / 446 >

この作品をシェア

pagetop