本気の恋の始め方
深く眠って目を覚ますと窓の外は晴天。
てっきり日が暮れたのかと思ったのに、時計の針は正午を指していた。
一日ってこんなに長かったっけ……。
起きあがって部屋中のカーテンを開け放った。
なんだか私の涙で空気すら重くなったような気がしたから、窓を開けて全部入れ替えた。
そよそよと入ってくる風が気持ちいい。
ベランダのバジルはすでに収穫済み。
だけどどこからか花の種でも飛んできたのか、小さなふたばが目を出していた。
一瞬、千早に見せてあげたいな、彼はこういうこと素直に喜ぶからって、脳裏によぎって。
またハッとして泣きたい気分にかられる。
慌ててその場から離れて、ベッドのシーツをはぎ、洗濯機の中に押し込んだ。