本気の恋の始め方

「千早は過保護に育てられて、家じゃお姫様扱いだから。行ったところで会えるかどうかはわからないよ」



それは要するに、私なんか門前払いされるかもしれないってことなんだろう。


想像しただけで心がぺしゃっとへこみそうだった。



「――それでも行きます。やり直せなくても、直接顔を見て伝えたいことがあるので」

「ふーん……てっきり千早を呼びだしてくれ、とか頼まれるかと思ったけど。そうしたら絶対断ってやろうって思ってたんだけど。意外に行動力があるんだ」



そこで初めて、サチさんは表情をゆるめたような気がした。



あくまでも気がした、だけだけど……。



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