本気の恋の始め方

本当に千早のおうちなの……?


違ってほしいと思ったけど。住所はもちろんのこと、黒々とした筆さばきで書かれた「千野」の表札が堂々と掲げられているから間違いないわけで……。



ああ、どうしよう。

犬とかけしかけられたら……。



おそるおそる、門についてあるインターフォンを押した。



『――はい』



落ち着いた女性の声。


さらに緊張が足元から駆け上がってくる。


もしかして千早のお母様?

いや、お手伝いさんとかいるのかも!?



「わっ、わたくし、千野君の同僚の三木と申します。千野君はご在宅でしょうか?」

『お待ちくださいませ』



プツン、とインターフォンが切れる。




「はぁっ……」




思わずため息が漏れた。



< 386 / 446 >

この作品をシェア

pagetop