本気の恋の始め方

「ふふっ……」



思わず笑ってしまった。



いい子だな、千野君。


他の誰かを恋愛対象として見られる日が来るとは到底思えないけれど。

彼のこの言葉に、ちょっとだけ気持ちが楽になった。



「だけど……期待には、応えられないかもしれないけど……」

「はい。潤さんは男友達が出来たと思って、肩の力を抜いてください。俺は俺で勝手に頑張りますから」



男友達。

そんなの社会人になってからはゼロだ。


懐かしい響きに、私はうなずいていた。



「じゃあ、お友達になりましょう」

「はいっ!」



私の言葉に、笑顔全開の千野君。



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