本気の恋の始め方

千早のお母さんはまだおしゃべりしたそうだったけど。丁寧に断って門を出る。



今はとにかく千早に会うことが先決だから。



本当はもう、別れてるんですって言えなかった。メモを受け取ってしまった。ずるいよね……。


心の中で必死に謝りつつ千野家に向かって頭を下げる。


それから、渡された住所を携帯のナビで探すと、ちょうど会社と私の部屋と、千早の部屋で正三角形が出来る場所だった。


電車に乗って地図を眺めてふと、気がついた。




「――ここって……」



以前、千早と話したことがある。


毎月行っていた単館映画館のオールナイトイベント。

終了した後はホテルに泊まらず、適当にカフェで始発までの時間をつぶしてるっていったら、あぶないって真剣に怒ってて……。



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