本気の恋の始め方
嬉しいとか、驚いたとか、全部ごっちゃごちゃになって、息が止まりそう。
「ヒック……ッ」
目の前の景色が
輪郭が、どんどんにじんでいく。
なにも見えない。
ただ、感じられるのは千早の体温だけ。
「うっううっ……うえぇん……」
この数年。ちょっと泣く、くらいはあったけど。
こんなに声をあげて泣いたのは初めてだった。
「わ……」
千早はめちゃくちゃ泣き出した私を包み込むように抱きしめ、そのままゆっくりと頭をなでる。