本気の恋の始め方
千早は私の手をひき、そのまま部屋のなかへと連れて行く。
いたるところにまだ段ボールが置いてあって、引っ越しはまだ完全には終わっていない雰囲気。
リビングには以前家具屋さんで見たソファーが置いてあった。
焦げ茶色の皮のソファー。ちょっとレトロな形で、すてきなソファー。
「あ……」
うちに置いてあるソファーは二人用だったから。千早と二人で座るには狭くて。
もっと大きいの買おうかなって、話したことを唐突に思い出した。
そして千早は、一人でドキドキしている私をそこに座らせると、にっこりと笑って私を見下ろす。