本気の恋の始め方

千早は私の手をひき、そのまま部屋のなかへと連れて行く。


いたるところにまだ段ボールが置いてあって、引っ越しはまだ完全には終わっていない雰囲気。


リビングには以前家具屋さんで見たソファーが置いてあった。


焦げ茶色の皮のソファー。ちょっとレトロな形で、すてきなソファー。



「あ……」



うちに置いてあるソファーは二人用だったから。千早と二人で座るには狭くて。


もっと大きいの買おうかなって、話したことを唐突に思い出した。



そして千早は、一人でドキドキしている私をそこに座らせると、にっこりと笑って私を見下ろす。




< 406 / 446 >

この作品をシェア

pagetop