本気の恋の始め方
本当は、きっとたくさん、千早は私に譲歩してくれたんだと思う。
こういうところが嫌いって言うのは簡単なのに。千早は言わなかった。
私に自分で考えるチャンスをくれた。
それってとっても難しいことだよね。
彼が私を信じてくれないと、出来ないことだから……。
千早は年下かもしれないけれど、私よりずっと大人だ。
「愛してるよ、潤さん。だから俺を信じて。信じるって怖いかもしれないけど……俺を信じて」
千早はそう言って上半身をかがめ、私の唇を奪うようにキスをする。
「そして自分を信じて。俺に愛されてる自分を信じてみて。こんな私、だなんて思わないで……?」
彼の指が私のうなじをなぞり、髪の中に入っていく。
「千早……」
「俺のこと、好き?」
「うん」
うなずくと彼はとても嬉しそうに笑う。