本気の恋の始め方

――――……


全身を包むけだるい恍惚感。


夢うつつ状態で、ぼんやりしている裸の私に、彼のYシャツを着せ、ボタンを留めながらキスをする千早。



「こういうの、男のロマンスなんだ」

「ロマンス……?」

「恋人が自分のYシャツぶかぶかに着せられてるって感じが、ロマンス」



妙にきっぱり言うのがなんだか笑ってしまう。

彼のこういう可愛いところが好きだなって、思う。



「そういうの、よくテレビで聞くなぁと思っていたけど。本当にそうなんだ」



私の言葉に千早は当然、と言わんばかりにうなずいて。



「俺は意外にベタな男なの。コンビニで見かけるかわいくて優しいお姉さんに恋をして、ダイエット始めちゃうような」

「ふふっ……」



ソファーの上で。彼の腕の中で笑う私を見て、ふとまじめな表情に変化する。



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