本気の恋の始め方

不思議ね。

私は上手な恋の仕方なんか知らなくて。

そんな自分にコンプレックスだらけで。


だけど今は、前ほど怖くないの。



「来月、大学時代のサークルのみんなでキャンプがあるんです。一緒に行ってくれる?」

「うん、千早のお友達に会えるの楽しみ」



お茶を飲んだ後は、マーケティング部への廊下を並んで歩く。



「ご両人、結婚はいつー?」



主任が冷やかしながら声をかけてくるのも


「もう少し恋人気分を満喫してからにします」


千早は笑ってかわし、周囲にだれもいないのを確認してから、私の耳元にささやく。



「俺、超特急で出世するから。もう少し待ってて」




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