本気の恋の始め方

どうやら社内の男性社員からは、恐れられる存在らしい。


年齢不詳だけど、綺麗で、お仕事もバリバリこなして、いつも背筋がぴーんと伸びている鮎子さんは、同性の目から見ても素敵、なんだけどな。

私が男だったら好きになってるかも。


「怪しいも何も、そういう雰囲気、ゼロですから」



笑いながらシーフードドリアを口に運ぶ。



千野君とのことは、鮎子さんにだけ話している。

っていうか、鮎子さんの地獄耳は、社内の人間の間で起こったことなら何でも聞きつけて……。

もちろん私と千野君が歓迎会の二次会を抜け出したことも知っていて、問い詰められたから、話すしかなかったんだけど。



「だけど潤に目をつけるなんて千野千早、やるわね」



鮎子さんは妙に上機嫌だった。



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