本気の恋の始め方
そんな、好きになるばっかりって……。
彼の言葉に、頬が熱くなる。
「だから、次からはもっと潤さんに男として見てもらえるよう作戦を変更しようと思います」
作戦変更って……。
「だけど」
「俺はもっと、あなたの中に、踏み込んでいきたい」
少しだけ声を落として千野君はささやく。
その艶のある声に色気を感じ、思わずうつむいてしまった。
私の中に踏み込む?
るうくんとの思い出に踏み込んでくるってこと?
「だけどその前に、腹ごしらえですね?」
邪気のない笑顔でニコッと笑う、千野君。
途端に空気を変えてしまう。
男の顔と、後輩の顔。友達の顔と、そうじゃない顔。
くるくると表情を変える千野君に反応しきれなくて、結局食事の席ではそれ以上言えなくなってしまっていた……。