本気の恋の始め方
酔いがさめたころ、千野君が缶コーヒーを買ってくれた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
きいっこ
きいっこ
それぞれに腰を下ろしたブランコの音だけが響く。
「ブランコってもっと高かったイメージだけど、こうやって座ってみると、めちゃくちゃ小さいですよね」
千野君は長い脚を投げ出すようにして、ゆらゆらと揺れている。
「うん。そうだね……」
ブランコをこいで、どこまで飛べるか競争した、やんちゃだったころを思い出す。
「潤さんの小さいころの話、聞かせてください」
「え……?」
「言ったでしょう。踏み込みたいって」