本気の恋の始め方
千野君はブランコをこぐのをやめて、じっと私を見つめる。
「図々しいやつだって呆れられるかもしれないけど……俺、潤さんのこと、もっと知りたいんです。あなたが上書きしたがっている過去のことも、全部、知りたい」
千野君を利用してまで、上書きしたがっていた過去。
結局それは失敗に終わってしまった。
「話したくないですか?」
「わからない……誰にも話したこと、ないから」
だけど……
千野君には、知る権利があるとも思う。
「どこから話したらいいかな……」
「思うところからで。潤さんが話せると思うことを、そのまま聞かせてください」
「――わかった」
手の中の缶コーヒーに目を落とし、私はぽつりぽつりと口を開く。
私の初恋。
「るうくんは幼馴染なの……」
――――……