本気の恋の始め方


もしかしてるうくんは変わった?


そう思うと、なぜか彼の隣を歩く見えない女の子が自分に重なって見えて。

私もあんなふうに見てもらえるんじゃないかって――。






「は?」



私の告白を聞いて。

さらさらの、少し長めの前髪をカチューシャで留めたるうくんは、タッパーを受け取ったまま凍り付いたように立ち尽くす。


口にした瞬間、しまった、と思った。



サッカーは小学校でやめたけれど、中学校からは陸上部に転向して、短距離ランナーになった。

入ったばかりの高校には勧誘されてバレー部に。


室内になって色は多少白くなったけれど、ベリーショートの髪に、化粧っけのない顔は変わらず。

大学に入ってからずっと、ぶいぶい言わせている派手なるうくんからしたら、私は「女」ですらないと思う。




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