本気の恋の始め方
目を覚ますと、保健室のベッドの中だった。
「三木さん、最近寝不足だったんじゃない?」
保健室の先生が苦笑しながら、起きあがった私の顔色をのぞき込む。
「あ……少し」
「受験生だからって、無理してはだめよ。大事な時期なんだから」
「はい……」
受験勉強で寝不足になったわけじゃないんだけれど、さすがにそんなこと正直に言えない。
「おうちに連絡したら、迎えに来られるって」
「わかりました」
ベッドの横には制服やバッグが一式置いてあった。
脇のカーテンを引いて、体操服から制服に着替えていると、
「失礼します」
がらりとドアが開いて男の人が入って来た気配。