本気の恋の始め方
「大丈夫だよ!」
からかわれてるってわかってるのに、顔が赤くなるのを止められない。
もうやだ……。
「わかった。だけど、無理すんなよ」
彫りの深い目じりに、少ししわが寄る。
にこっと笑って、塁は保健室の先生に「失礼します」と丁寧に頭を下げた。
「る、塁……」
先を歩く彼の背中を追いかける私。
まだ授業中だから、廊下には誰もいない。
とっても静かだ。
「ん? あ、歩くの早かったか?」
肩越しに振り返って、塁が立ち止まる。