本気の恋の始め方

車に二人きりなんて、こんなチャンスもう二度とないだろうな。



「このままどっかいきたいな」



そうつぶやくと

「ばか。体調悪いのになに言ってんだ。受験生だろ、おまえ」

苦笑した塁が、前を向いたまま答える。



「もう推薦もらえてるし!」

「え、まじで? じゃあお祝いしなきゃなぁ……」



少し考えるようなそぶりを見せる、るうくん。



「えっ……」



お祝い?


彼の言葉に、横顔に心臓が跳ねた。



「俺もおまえんとこのおばさんにお世話になってるし」

「あ……そっか」




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