本気の恋の始め方
小学生まで女の子みたいに可愛かった『るうくん』が、やがて社会人になる。
スーツを着て、ネクタイを締めて、働く。
だけど私は小さな頃からぜんぜん変わってない。
女の子として扱ってもらえる日が来るのかな……。
「地元で就職活動するって、大学はどうするの?」
「ゼミは週に一回だから、行けそうなときは行くよ」
「じゃあ基本こっちにいるの?」
るうくんは自宅から少し離れた大学に通っていて、一人暮らしをしている。
私が一番知りたいのは、彼が帰って来るか、どうかだ。
「そうするつもり。一人暮らしの費用、いつまでも母さんに甘えてらんないしな」
「そっか……」
ここ最近はめったに帰ってこなかった塁。
だけどもう一人暮らしをする必要もない、ということらしい。
嬉しい。これから毎日、塁に会えるんだ。
胸がぽかぽかし始める。