本気の恋の始め方

「なんだよ、にやにやして。おまえ、俺が帰ってくるのがそんなに嬉しいのか?」



信号待ちで、ふと私に視線を向け、唇の端を意地悪く持ち上げてみせる塁。



「なっ……!! んなわけないし!! 塁がいたら遅刻しそうなとき送ってもらえるなーって思っただけだし!」



図星を突かれておもいっきり動揺して。

力一杯否定しつつ、おまけにかわいくない言い訳までしてしまった。



私の、ばか……!






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