本気の恋の始め方
信じないで
ブランコから、ベンチに移動していた私達。
長い昔話をしているうちに、すっかり酔いは覚めていた。
少し話し疲れを感じて、ふうっとため息をつく。
「退屈でしょう? 私、話ベタだから……」
「そんなことないです」
黙って私の話を聞いていた千野君が、ぽつりとつぶやき首を振った。
「今日はここまででいい?」
「もちろん」
千野君はうなずくと、急にリラックスしたように長い脚を放り出すようにのばし、夜空を見上げた。
「潤さん、純情だったんだね」
「え、そうかな……」
「そうですよ。初恋を大事にして……一途に思ってて……俺、‘るうくん’が羨ましいです」