Petit Bonheur ‐名も無き宝石店‐
第1話 opal…
『 菅田陽平君へ
ずっと前から好きです。
付き合って下さい。
もしOKなら、放課後に
校舎裏の花壇に来て下さい。
柚姫 』
お気に入りのメモ用紙に綴った、
最初で最後の告白。
菅田陽平とは、生徒会に書記として入った事で知り合った。
生徒会長の彼は、誰からでも慕われていて
学校の人気者だった。
それに対して私、篠谷柚姫は
どちらかといえば目立たない方で
どんな行事でも進んで実行委員になる事はなかった。
本当の事を言えば、菅田陽平みたいなタイプは苦手だった。
しかし中学3年の時、運が良いのか悪いのか
菅田陽平と同じクラスになった。
それに加え、席が隣になってしまった。
菅田陽平は私に笑って、よろしくって言ったけど
私は、その笑顔は皆に同じように見せるくせにって
愛想笑いの下で思っていた。
それに休み時間の度に、彼の周りには人だかりができる。
私にとって彼の隣の席は、とても窮屈だった。