Petit Bonheur ‐名も無き宝石店‐
ある日の放課後、私は担任に呼び出された。
なんだろう、と思い行ってみると
担任は白髪交じりの頭を掻きながら、
困ったように言った。
「篠谷、お前部活にも委員会にも入ってないだろ?
という事は放課後は暇な訳だよな。」
嫌な予感がした。
担任が困った顔をする時は、面倒な事を押しつける時だと
知っていたからだ。
確かに部活には入っていない。
それは、私の体が弱いからだ。
すこしでもキツイと感じる運動をすると
肺が苦しくなる事もある。
思いがけない頼みごとをされた私は
グラウンドの裏へと向かう。
3階の窓から見えるグラウンドには
様々な運動部が部活に励んでいる。