叶恋
自分の席に戻ると、
「梓やるじゃん!」
「名前覚えてもらえたじゃん!!」
可憐と莉子にそう言われた。
「うん!」
私のことを応援してくれてる友達がいるってことが嬉しかった。
斎藤くんの眼中に入ることが出来たことが嬉しかった。
でも
その向こうに
井上さんの冷たい瞳があることに私は気づかなかったんだ。
「庄野梓…。名前覚えてもらったくらいで喜んで調子に乗って…。許さない。」
と、そう小さく呟いてたことに気づかなかったんだ。
恋は盲目になるっていうのは、本当なのかもしれない。