いつもの日常
「はぁ、遅くなりそうだったから……ふぅ……走って来たの」

「そんなに急ぐことでもあったか?」

マイのその言葉にミキはえっ、という顔をして答える。

「わたしが友達と買い物してる時にマイが電話で『ユウが大変なことになったから出来る限り早く帰ってこい』って」

「あぁ、あれね、あれは今日ユウ兄が早退したって聞いたから冗談で――って待って!! ことわざ辞典なんて鈍器振りかぶらないでっ!!」

ミキはテーブルの上に置いてあったことわざ辞典を、両手で持ち振りかぶっていた。
マイは文字通り必死になって説得を試みる。

「やっていいことと、悪いことがあるんだから~!!」

説得虚しくミキは言いながら、辞典こど両手を降り下ろす。
マイはかろうじてそれをかわす。
これを火種として、ミキの一方的な攻撃が始まった。
残されたチサは

「ミキお姉ちゃんの雷が落ちた……」

唖然とし、言葉を漏らしていた。
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