いつもの日常
―シミレート2―
お願いする

「ミキ姉、一口ちょ~だい」

「いいわよ、一口ね」

……失敗?……

(一口は少ない……)

―シミレート3―
こっそり食べておく

「ミキお姉ちゃんケーキは美味しかった?」

「ん? 何の事かしら?」

……多分失敗……

(後が怖いなバレた後が……)

―シミレート4―
半分に切って二等分する

……常識的に失敗……

(元が小さいから大きさでバレるな……)

―シミレート5―
自分が作ったのと入れ換える

……金銭的時間的失敗……

(手間を掛ける意味がないな……)

その後もマイはいくつものシミレートを重ねていき、シミレート22にしてついに完璧な策をシミレートし終えた。

「完璧に私の物にできる」

マイが意気込んでいるその時、ミキがタイミング良くか悪くか、帰って来た。
ミキはあらかじめチサから聴いていたらしくすぐさまケーキを食べる準備を開始し始めた。
ミキが準備を終え、ケーキを食べようとしたころにマイはシミレートを実行に移した。

「ミキ姉そのケーキ食べると太るよ」

その言葉にミキの行動がピクリと止まる。

「で、でもこれくらいなら……」
動揺を隠せないミキに、マイは追い打ちを掛ける。

「ユウ兄言ってたよ、最近ミキさん抱き上げた時重いって」

その言葉にショックを受けたのか、ミキはマイにケーキを譲った。
数日後、マイの言っていたことが嘘だと分かりミキに未だかつてない程怒られた。
また、言うまでもなくマイの体重は増えたという。

「こんなはずじゃぁ……」

マイは初めて後悔というものを知った。
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