話し屋 (短編集)
「どんな人なんですか??」


沈黙が怖くて、本当は聞きたくない事を聞いてしまった。



まぁ、悠矢先輩の好きな人がどんな人か気にならないわけではないけど・・・。



「4つ年上で・・幼馴染なんだ。すごく綺麗で優しい人だよ。」



と幸せそうに話す。



その顔はまさに、私が紗希に悠矢先輩の事を話す顔と似ていた。


つまり、恋している者の顔だった。



「告白、しないんですか??」



「怖くて、できないよ。向こうは完全に俺の事弟扱いだし。」


と自嘲気味に言う。



「それじゃあ、この曲は一生題名がつけられないじゃないですか。恋が叶ったら題名をつけるつもりなんですよね??」


「まぁね。」



「じゃあ、頑張ってください!!」



「ありがとう。」



と優しく笑う。


その笑顔を見てまた、ドキっとする。



何、好きな人の応援なんてしてるんだろう・・。


本当にバカみたい。



でも、こんな話をしてくれるって事は私の事信用してくれてるんだよね??


今は・・それだけでも嬉しいよ、先輩。
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