話し屋 (短編集)
「あっ!!!!何で、そんな事するんですか??」



「願掛け失敗したからだよ。」



と悲しそうに言った。



長年の恋を失った先輩はいつもの冷静さを失くし、そして、弱弱しかった。



「だからってこんな!!」



と私は泣きながら楽譜を拾う。



「何で、泣くの??」


と先輩は戸惑いながら言う。



「先輩最低です!!先輩が失恋したのはこの曲のせいじゃないのに!!初めて作った曲なんでしょ!!何で、簡単に捨てれるんですか!!!」



「・・・・・・・・・。」



「私は、私は先輩の事が好きです!!」



突然の私の告白に先輩は目を大きく見開く。



「始めは、先輩の音に恋しました。でも、弾いている姿をみたり先輩と話しているうちにどんどん先輩の事が好きになりました。特に、その曲を弾いているときの先輩が大好きでした!!たとえ、他の人を思いながら弾いていても!!」




と私は怒鳴るように言う。



告白を怒鳴りながらする人なんて私くらいだろうか・・??



「ごめん。」



「それは何に対してのごめんですか??」



「俺ばっか不幸な振りして。俺の側でピアノを聞いていた綾瀬のが何倍も辛かったはずなのに・・・。ごめん。」





「・・私も怒鳴っちゃってすみません。」



と私は顔を真っ赤にしながら怒る。


勢いとは言え、告白なんかしちゃったなんて自分でもびっくりだ。



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