話し屋 (短編集)
気がついたら私は、月島沙羅の自殺場所に来ていた。


ここに来たら、彼女が自殺した理由が分かるかもしれない。


そんな気がしたのだ・・・。


「うわっ。また、蚊に刺された。」


寒くなってきたものの、まだ季節は秋。そしてここは雑木林。虫はたくさんいる。


「あっ。もしかしてここが、月島さんが自殺した場所かなぁ・・・??」



霊感とか特別勘が鋭いという訳ではないが、何となくここが彼女の自殺した場所だと分かってしまった。彼女の最後の死に場所は10m程高さのある崖であった。



(どんな思い出彼女はこの崖を飛び降りたのだろう・・・??)



「香月さん、こんな雑木林に呼び出して何かあったの??」


「なっ何?!今の声??なんか、私の名前が呼ばれた気がするんだけど??」



「月島さん、あなたが綺羅の財布を盗んだのね??」


(綺羅の財布・・・そういえば彼女が死ぬ前の日、クラスで財布の盗難事件があったけ??あれってどうなったんだろ?・・・あっ、確か、結局綺羅の勘違いで終わったんだ。)



どこから聞こえてくるか分からない不可解な声はまだ続く。



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