話し屋 (短編集)
「しっ失礼しま~す。」


とまるで泥棒のように抜き足差し足で入っていく。



ピアノの方を見るが誰もいなかった。




「何だ。やっぱり帰っちゃったんだ・・・。あれ?楽譜が置いてある。」




ピアノの方へ近づくと楽譜がまだ譜面台に置きっぱなしだった。




「何の曲かなぁ・・・。」



楽譜をめくってみるがどこにも曲の題名は書かれていなかった。




「題名の無い曲??」



ガラッ



ドアの開く音がし、咄嗟に楽譜を元に戻しドアの方へ振り返る。



そこには、男の子が立っていた。



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