主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※
主さまには悪いが…息吹と一緒の時間を過ごせることを素直に喜んだ晴明は、2つ分の敷布団を敷こうとして正座してお茶を飲んでいた息吹の首がふるふる振られたのを見て首を傾げた。
「どうしたんだい?」
「1つでいいです。父様、手を繋いでね」
「息吹…これ以上十六夜を怒らせてしまうと私の命が危うくなるのだが」
「父様は私の父様だもん。一緒に寝て何が悪いの?」
…純真すぎる。
親子と言えども血は繋がっていないわけで…だが息吹はそれを気にも留めずにさっと床に寝転がって笑いかけてきたので、晴明は仕方なく一緒の床に入ると、灯篭を1つだけ残して灯りを消した。
「十六夜とちゃんと仲直りをするんだよ。ああ父様は心配で気が気ではないよ」
「…うん…ちゃんと仲直りするね。さっきの主さま怖かった…。私今まで本気で怒鳴られたことがなかったから…主さままだ怒ってると思う?」
「まだねちねち怒っているような度量の狭い男ならすぐ離縁させるからね。息吹…十六夜とてそなたを大切にしたいはずだ。だが底が浅い。そなたを束縛したいが故に私を構うそなたが許せぬのだ。十六夜の気持ちもわかってやりなさい」
「主さま…やきもち妬いてたの?」
「そうだよ。…おや?嬉しそうだねえ、顔が綻んでいるよ」
主さまと既知の仲にある晴明からそう諭されて目が覚めた思いになった息吹は、晴明に腕枕をしてもらいながら身体を寄せると、主さまがやきもちを妬いてくれたことに喜びを覚えて脚をばたばたさせた。
「私…寝相が悪いし…主さまに呆れられてるんじゃないかなって心配だし…それに…その…」
「なんだい?」
父代わりの晴明にこんな相談をするのも…と憚られたが、息吹は晴明の耳元でこそっと耳打ちをした。
「私ね、赤ちゃんが欲しいの。でも主さまは朝まで帰って来ないし…その…朝にするのも…明るい所だと恥ずかしいし…」
「ああなるほど。しかし私も早く孫が見たいからねえ。その件に関しては明日私が十六夜と百鬼らに相談をしてみよう。孫か。ふふふふ」
「や、やっぱり恥ずかしい!変な相談してごめんなさいっ」
「いや、いいんだよ。十六夜とてそなたと仲睦まじく暮らしたいのは山々だろうし、そなたと同じ悩みを抱えているやも。いや、必ず抱えていると見える」
楽しそうに笑った晴明の笑顔に癒された息吹はその後も夜通し晴明と話をして、これからしばらく堪能できないであろう父の腕枕を楽しんだ。
「どうしたんだい?」
「1つでいいです。父様、手を繋いでね」
「息吹…これ以上十六夜を怒らせてしまうと私の命が危うくなるのだが」
「父様は私の父様だもん。一緒に寝て何が悪いの?」
…純真すぎる。
親子と言えども血は繋がっていないわけで…だが息吹はそれを気にも留めずにさっと床に寝転がって笑いかけてきたので、晴明は仕方なく一緒の床に入ると、灯篭を1つだけ残して灯りを消した。
「十六夜とちゃんと仲直りをするんだよ。ああ父様は心配で気が気ではないよ」
「…うん…ちゃんと仲直りするね。さっきの主さま怖かった…。私今まで本気で怒鳴られたことがなかったから…主さままだ怒ってると思う?」
「まだねちねち怒っているような度量の狭い男ならすぐ離縁させるからね。息吹…十六夜とてそなたを大切にしたいはずだ。だが底が浅い。そなたを束縛したいが故に私を構うそなたが許せぬのだ。十六夜の気持ちもわかってやりなさい」
「主さま…やきもち妬いてたの?」
「そうだよ。…おや?嬉しそうだねえ、顔が綻んでいるよ」
主さまと既知の仲にある晴明からそう諭されて目が覚めた思いになった息吹は、晴明に腕枕をしてもらいながら身体を寄せると、主さまがやきもちを妬いてくれたことに喜びを覚えて脚をばたばたさせた。
「私…寝相が悪いし…主さまに呆れられてるんじゃないかなって心配だし…それに…その…」
「なんだい?」
父代わりの晴明にこんな相談をするのも…と憚られたが、息吹は晴明の耳元でこそっと耳打ちをした。
「私ね、赤ちゃんが欲しいの。でも主さまは朝まで帰って来ないし…その…朝にするのも…明るい所だと恥ずかしいし…」
「ああなるほど。しかし私も早く孫が見たいからねえ。その件に関しては明日私が十六夜と百鬼らに相談をしてみよう。孫か。ふふふふ」
「や、やっぱり恥ずかしい!変な相談してごめんなさいっ」
「いや、いいんだよ。十六夜とてそなたと仲睦まじく暮らしたいのは山々だろうし、そなたと同じ悩みを抱えているやも。いや、必ず抱えていると見える」
楽しそうに笑った晴明の笑顔に癒された息吹はその後も夜通し晴明と話をして、これからしばらく堪能できないであろう父の腕枕を楽しんだ。