主さまの気まぐれ-百鬼夜行の王-【短編集】※次作鋭意考案中※
主さまの手がいつもより冷たくなっているのを感じた息吹は、そのまま振り返らずに昨晩怒鳴られたことを素直に謝った。
「私が悪かったの。父様に会えて嬉しくて…主さまに怒られても仕方なかったの」
「…そんなことはない。お前たちは深い絆で結ばれている。…お前を怒鳴ってしまうなんて…俺はどうかしていた」
「…あの時の主さま…すごく怖かった」
「…ああ、わかっている」
「でも私…主さまのお嫁さんで居られるために頑張るから。我慢もするし我が儘も言わないように努力するし、それに雪ちゃんが戻って来たら愚痴を聴いてもらうし主さまには絶対迷惑かけないから…だから離縁なんて言わないで、お願い」
「息吹…」
仲直りをしてまた主さまの手をぽんぽんと叩くと、主さまが首筋に口づけをしてきたので飛び上がってしまい、それは何度も何度も続いて頭から湯気が出た。
「ぬ、主さま?あの…」
「…十六夜、と呼んでくれ」
「で、でも…雪ちゃんが見てるし…」
「見ていない。そいつにはまだ眠っていてもらう。…息吹、今から一緒に…ふ、風呂に入ろう」
いつも肝心なところで噛んでしまう主さまからの誘いにまた飛び上がった息吹は、きつく抱きしめられているために振り返れずにもじもじして俯いた。
「でも…朝だし…」
「朝も夜も関係ない。夫婦関係を円満にするためには風呂が必要だ。…恥ずかしがる必要はないぞ、俺はお前の全てを知っているからな」
「!も、もう…やだっ、主さまの助平!」
「…十六夜、だ」
「…十六夜さんの…助平…」
するといきなり身体をひっくり返されて真向かいになり、見上げた先には主さまの憂いに満ちた切れ長の瞳が見据えてきていて、ぽうっとなってしまった息吹の唇を奪った主さまは、息吹の腰が砕けてしまうほどに激しく深い口づけを何度も交わすと息吹を抱っこした。
「どこに行くの…?」
「風呂だ。その後は……、こ、子作りをする」
「え!?十六夜さ…、あ、朝だし…」
「同じことを言わせるな。お前の文句は聴かない」
時々強引で俺様な顔を覗かせる主さまの首に抱き着いた息吹は、主さまも同じ願いを持っていることを知って感動して首に抱き着いた。
「いいよ…、じゃあ先にお風呂ね」
――いちゃいちゃ、いちゃいちゃ。
雪男の部屋で繰り広げられる主さまと息吹のいちゃいちゃに爆発したものがある。
それは…
「…?十六夜さん…今なんか変な音が…」
「…なんだ?」
びしびし、と何かに亀裂が入る音がしたので振り返ると、寝台の上の氷に盛大な亀裂が入っていた。
瞳を見張った主さまと息吹が息を呑んで見つめているうちにさらに全体に亀裂が入り…そして、爆発した。
「きゃ…っ!」
鋭く尖った氷の先端で息吹が傷つかないようにと身を呈して庇った主さまと息吹の耳元に、尖った懐かしい声が届いた。
「ふん、俺の部屋でいちゃいちゃすんなよな。むかつくんだよ」
「…雪ちゃん!?その姿…っ」
帰ってきた雪男は青い髪に青い瞳と真っ白な肌の10歳程の子供の姿で、寝台の上で唇を尖らせていた。
「私が悪かったの。父様に会えて嬉しくて…主さまに怒られても仕方なかったの」
「…そんなことはない。お前たちは深い絆で結ばれている。…お前を怒鳴ってしまうなんて…俺はどうかしていた」
「…あの時の主さま…すごく怖かった」
「…ああ、わかっている」
「でも私…主さまのお嫁さんで居られるために頑張るから。我慢もするし我が儘も言わないように努力するし、それに雪ちゃんが戻って来たら愚痴を聴いてもらうし主さまには絶対迷惑かけないから…だから離縁なんて言わないで、お願い」
「息吹…」
仲直りをしてまた主さまの手をぽんぽんと叩くと、主さまが首筋に口づけをしてきたので飛び上がってしまい、それは何度も何度も続いて頭から湯気が出た。
「ぬ、主さま?あの…」
「…十六夜、と呼んでくれ」
「で、でも…雪ちゃんが見てるし…」
「見ていない。そいつにはまだ眠っていてもらう。…息吹、今から一緒に…ふ、風呂に入ろう」
いつも肝心なところで噛んでしまう主さまからの誘いにまた飛び上がった息吹は、きつく抱きしめられているために振り返れずにもじもじして俯いた。
「でも…朝だし…」
「朝も夜も関係ない。夫婦関係を円満にするためには風呂が必要だ。…恥ずかしがる必要はないぞ、俺はお前の全てを知っているからな」
「!も、もう…やだっ、主さまの助平!」
「…十六夜、だ」
「…十六夜さんの…助平…」
するといきなり身体をひっくり返されて真向かいになり、見上げた先には主さまの憂いに満ちた切れ長の瞳が見据えてきていて、ぽうっとなってしまった息吹の唇を奪った主さまは、息吹の腰が砕けてしまうほどに激しく深い口づけを何度も交わすと息吹を抱っこした。
「どこに行くの…?」
「風呂だ。その後は……、こ、子作りをする」
「え!?十六夜さ…、あ、朝だし…」
「同じことを言わせるな。お前の文句は聴かない」
時々強引で俺様な顔を覗かせる主さまの首に抱き着いた息吹は、主さまも同じ願いを持っていることを知って感動して首に抱き着いた。
「いいよ…、じゃあ先にお風呂ね」
――いちゃいちゃ、いちゃいちゃ。
雪男の部屋で繰り広げられる主さまと息吹のいちゃいちゃに爆発したものがある。
それは…
「…?十六夜さん…今なんか変な音が…」
「…なんだ?」
びしびし、と何かに亀裂が入る音がしたので振り返ると、寝台の上の氷に盛大な亀裂が入っていた。
瞳を見張った主さまと息吹が息を呑んで見つめているうちにさらに全体に亀裂が入り…そして、爆発した。
「きゃ…っ!」
鋭く尖った氷の先端で息吹が傷つかないようにと身を呈して庇った主さまと息吹の耳元に、尖った懐かしい声が届いた。
「ふん、俺の部屋でいちゃいちゃすんなよな。むかつくんだよ」
「…雪ちゃん!?その姿…っ」
帰ってきた雪男は青い髪に青い瞳と真っ白な肌の10歳程の子供の姿で、寝台の上で唇を尖らせていた。