SoUnD~僕らの世界~
気がついたら寝ていて、朝がきていた。
制服を着たままで、夕飯なんか食ってねぇし、勉強も練習も何もできなかった。
学校ではあんなにも必死にギターをかき鳴らして、自分の気持ちをはぐらかしていたのに。
家に帰ると、やっぱりそんなことはできなかった。
ベッドから起き上がり洗面所へ向かう。
まだ誰も起きてない時間。
だってまだ五時三十分だぜ?
それでも俺は、学校に行く準備を始めた。
そして、母さんが起きてきたとき「いってきます」と言って家を出た。
家を出てから数分後、バス停に俺はいた。
早朝六時のバス停は、人気のない静寂な空間で、その中に俺がただ一人たたずんでいた。
次にバスが来るのは、俺がいつも乗っているバスの二個以上も前のもの。
それに俺は乗り込み、学校へと向かった。
バスに乗り込んだとき、やっぱりいつもの場所まで足を進めてしまった。
もちろん、そこに未那の姿があるわけがない。
分かっていても、そこまで行ってそこの席に座る。
バスの外を眺めて徐々に明るくなっていく朝を、ただ一人で見つめていた。
学校について、自分の教室、自分の席に座り黒板を見つめる。
こんなに早く学校に来たことなんてない。
でもきっとこれからは、こうやって来ることになるだろう。
今の俺には、未那に合わせる顔がなかった。
たった一言で、俺と未那の関係が終わりを告げたんだ。
俺が壊したくないと思っていたこの関係を、この俺が自分で壊してしまった。
だから余計に、未那に会っていつもの如く話せる勇気がなかったんだ。
もう、昨日よりも前の日々には戻れないんだ。