SoUnD~僕らの世界~
PART 5
昨日の夜、あの後のこと。
結局なかなか寝付けなくて、朝を迎えてしまった。
未那のあのメールを思い出しただけで、顔がにやける自分がそこにいた。
バス停でバスを待っている時間も、いつもに増して待ち遠しくて仕方なかった。
プシューッ―――
「はよ!」
「・・・おはよう。」
未那の隣に行ってあいさつをしたら、やけに未那のテンションが低いことに気づいた。
「どうした、未那?」
「今日ね、智と夕食を食べに行くことになっちゃって・・・。」
「行きたくねぇの?」
「・・・どうせ行っても、楽しくないから。」
未那の声のトーンからして、相当悩んで、結局は行くと言ったんだろう。
「ドタキャンすれば?」
「・・・できないよ。私が智を避ければ、また智との溝が開いちゃうから。」
「そ、っか。」
「座る?」
「おう。」
未那の隣に座ると、俺は一呼吸おいて「好きなんだな」と呟いた。
それに、未那は「うん」とだけ返事をして、窓の外を眺めていた。
「じゃぁ、またね」
「おう。無理はすんなよ。」
「大丈夫よ。」
未那がバスを降りて行った。
『大丈夫よ』と言った未那の顔は作り笑顔で、そんな悲しい顔を俺に見せて行ってしまった。
そうやって、未那はまた俺の中に不安を残していくんだ。